オンライン×自治体×ヘルスケアビジネスのマーケティングと新領域創造の要点

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参加者

  • ファシリテータ:enlink株式会社 代表取締役 我妻敏幸
  • 株式会社ミストラルサービス:代表取締役会長 小林勝
  • 株式会社ママタイム:取締役営業本部長 古原道明
  • デジタルハリウッド大学大学院:杉山智
  • サファイア経営事務所:所長 青石吉司
  • ニューロンメディアサービス:代表 源野彰之

 

 

オリエンテーション

本日のテーマは地方都市版のヘルスケア&スマートシティに関して、自治体並びに参加民間企業・団体等の二つの側面から、こうした取組に対して初めに必要な事柄の「知の創発・編集」についてのコミュニケーションとアイディアを結果に結びつけるオンラインをでの行動、ネットワークの作り方について考えてみようと思います。また、本日はヘルスケア領域でビジネスを展開される方々を中心に意見交換を行おうと思います。

 

 

  • バイタル×環境データのオンライン活用と予防
  • サービス基軸のオンラインプラットホームとは
  • 事業創造のシンプルな原則

 

 

ご案内では上記のテーマを用意してますが、内容的にはフリートークに近い形で色々なご意見をいただきたいと思います。
(数社のヘルスケア&スマートシティに関するHPデータを用いての解説を行う。概ねビッグデータとAIによる地域ネットワークの活性化・地域サービス開発が多い。ポイントはネットワークとDBによる知・モノ・コト・ヒトと言う要素組み合わせの再構築)

 

 

自己紹介

それでは皆様のプロフィール並びに自己紹介を簡単にお願い致します。

 

 

小林
現在の仕事は在宅介護関係の会社で経営で20年近く運営してきました。近年会長職に就いたこともあり、既存業務のみでは無く地域貢献に関しても意識しています。現在は京都府綾部市在住。綾部市は人口35000人の町で、この町を中心に色々取り組んで行こうと思っています。

 

古原
現在広島在住。22歳から40歳まで400年の歴史のある富山の置き薬の仕事を続けてきました。後半は700人ほど会社で営業本部長を2年ほど務めて大きな改革を経験し、その後飲料メーカーの仕事。再度、配置薬の会社で社長として経営と業態改革に取り組んで来ました。現在はママタイムという会社で新たな市場創造のシステムを開発し、市場開発業務に携わっています。

 

杉山
現在の専門はリハビリテーションの作業療法士を行っています。地域のリハビリテーションを行う中で75歳以上の方々の身体能力低下に対する問題の解決をしたいと思い、ロボット関係のベンチャーCYBERDYNE社のマネージャーをしていました。そうした体験の中で楽しみながら運動し健康になっていくサービスやシステムが必要と感じ、現在はデジタルハリウッド大学大学院でその開発と検証を進めてきました。サービスの実証実験では比較的よい結果が出て、現在、それらの結果について日本リハビリテーション医学会、フレール、日本サルコペニア学会等で論文発表を行っている。

 

源野
現在大阪在住。子供が生まれて育休中ですが、こうした環境で多くの人たちの出会いが出来るのは今までにかなったことなのでうれしく思います。主な仕事はホームページ制作からウェブプロモーション全般です。ヘルスケアビジネスでの経験は無いので、今日は色々学ばせていただきます。

 

 

ヘルスケア・福祉での問題意識について

ヘルスケア、介護、福祉等についての皆様の感じている問題意識についてご意見を聞かせてください。

 

我妻
まず、ボクから話そうと思います。
ボクの考えているのは現代社会とメンタルヘルスケアの問題です。
ボク自身体調を崩した経験を振り返りながら、複数医師の治療指示の中でこの病気は治らない病気、できる限り現状維持を心がけましょう、と言われたこと。家庭内の人間関係、会社内での人間関係を考えながら、家族や仕事への責任意識と周辺の理解協力について考えてしまう点が多く、真剣に健康を管理して何かに長生きしたいというよりは、環境のせいではないのは頭では分かっているのですが、頑張るだけ頑張って死んだ方が区切りがいいかな?という、やや投げやりな気持ちになり、治療と健康維持へのモチベーションがうまく作り出せなかったことを感じています。50歳を過ぎてからの考え方は「生き様よりも死に様」を意識するようになりました。よくよく振り返ると、そうした生きることへの意味やモチベーションを高めるのに必要な、自分自身を取り巻くネットワークがうまく形成できなかった人生だったのかな?と考えるようになりました。
最近、これは自分ひとりの問題では無く、現代社会全体が抱える課題のようにも感じ、医療以外のメンタル面でのヘルスケアとしての、共感や共鳴を必要とした人間同士を支え合うネットワークが高齢化社会には必要なのではという問題意識を持っています。

 

 

小林
人間は人と人との繋がりが大切な生き物だと於思う・・・
(以下、通信状態が不安定なため聞き取り不能)

 

 

古原
400~500件のお客様と25年間にわたるお付き合いをさせていただいた経験で、お客様は相談できる場所がない、と言う事を強く感じてきました。四半世紀のお付き合いをする中で、医療面での肩書きも無い営業マンに深刻なことを打ち明けてくる。聞く姿勢を持って接していると、かなり奥深い悩みまで相談してくる。初めは健康相談なのですが、次第に心の問題も相談してきます。地域の中に問題を解決できる相談場所が無いことを感じています。
地域の中に相談出来る場所を作っていかないといけないのではという問題意識を持っています。

 

 

我妻
業態特性もありますが、四半世紀の期間お客様と人生を共にするというのは非常に貴重な体験だと思います。なかなか経験できることでは無いですね。

 

 

古原
現在もそうした方々とお付き合いしています。(笑)

 

 

杉山
ボクの場合は作業療法士の学校を卒業して最初に就職したのが急性期病院でした。そうした場では脳血管障害、交通事項等の整形疾患の患者さんのリハビリテーションを数多く経験しました。
脳血管障害を中心に考えると、生活習慣が大きく関係しているのでは無いかと思います。要因として遺伝も関係しますが糖尿病、動脈硬化等が多く見られます。生活の再構築を行う上で運動と栄養管理、精神面と活動性が重要です。肉体と精神の両面からのアプローチへの問題意識が大切です。
現在、腎臓リハビリテーションにも関わっています。データに基づいて関与しリハビリを行っています。

 

 

我妻
ボクの場合は、診療にいくと薬の処方のみで、そうしたリハビリの機会を提供してもらえればもう少しモチベーションを維持できたのかも知れません。これは個人的印象ですが、投薬や食事指導よりも心理面への関与が大切だったのでは無いか?。診療と言うより、パソコン画面を見ながら検査数値を指摘する所作が、会社の会議で実績チェックを毎回されている方形とダブってしまうように感じていました。
社会的な課題として、こうした医療のあり方について問題意識を感じているのですが、意見のフィードバックをし、医師との本音での対話がうまく出来ず、またそうした状況を改善するための提案する窓口がありません。
こうした事への対処として、地域での情報ネットワークをうまく活用できないかと思います。また、インターネット上では情報が多すぎて玉石混交のため、あまりよい解決策は見出しにくい感じです。

 

 

杉山
データを取りながら予防のための生活の再構築がこれからは必要ですね。

 

 

源野
病気になる前の予防が重要なのがよく分かりました。
リストバンド等でバイタルデータの収集から予防に繋げていくことが出来れば、医療行政も希望が出てくるように感じます。病院の治療では投薬指導のみで、病気や健康のメカニズムについての理解出来る材料の提供が無いように感じる点がボクの問題意識です。

 

 

 

予防領域での日常健康管理について

 

我妻
予防等の領域での日常の健康管理についてご意見をいただけますか?また、ビジネスに繋がる視点でのご意見もいただけると助かります?

 

 

我妻
治療を受けている経験として、現象に対する対処法は指導するが、なぜ、そういうことになってしまうか?と言う原因への掘り下げ会話をしようとするとたいてい20秒くらいで遮られます。この点は原因が分からないのに蓋をされているようで心理面での納得が得にくいという、診療上での時間や診療マニュアル上の進め方に関する患者としてのボクの問題意識があります。原因を理解できれば改善の意識も高まるのでは?とも思うのですが。

 

 

古原
自分の体験からの話ですが、自分のお客様の5人に4人は薬を飲んでいました。生活習慣に対する行動変容への提案は幾度もしましたが、なかなか行動はしません。そうした中で行動変容に至る方もいます。それは、死に目に会ったことのある方々です。死と言うことを意識した時に考えが変わるのでは無いかと思います?。しかし、こうした話は2~3時間はじっくりお客様の話を伺い、話に共感してあげながら一緒に考えてあげたときに変容が起きるように思いますが、たいていの場合、そのように十分な時間が取れないと言うことが自分の感じる問題意識です。

 

 

我妻
何かの本で読みましたが、人類の歴史の中で現代ほど長時間労働をしている時代は無いようで、忙しくしている割には貧しかったり、と感じるのは不思議ですね.(笑)

 

 

杉山
リハビリの観点からになりますが、大きく分けると二つのパターンがあると思います。リハビリを訓練と捉えると、やらざるを得ない事を医療保険を受けてやる。しかし、これも生涯にわたるものになると、どこかで行動変容に基づいて自らやっていかなければならないステージに達します。その時に重要なのが楽しく、あるいは習慣化できるという事であることです。
地域に情報が無いという現状でオンラインを活用したサポートは必要だと思います。マンツーマンで大きな費用をかけるのはむずかしいので、お金をかけるのでは無くきちんとした知識と楽しさ等のモチベーションが続く仕組みが大切です。

 

 

我妻
古原さん、杉山さんに質問ですが、毎日多くの方々と接する自分自身のモチベーションはどのように維持しておられますか?。そのためのセルフマネジメントについてお聞かせ願えますか?

 

 

古原
お役立ちを通して喜んでくれる。というフィードバックがモチベーションや力になるように感じます。その為に体調や家族関係等をきちんと見ていくことが大切です。そこが崩れているとお客様の話をしっかり聞ける状態では無くなります。

 

 

杉山
医療者を見ていて、医者のの不養生みたいな方を多く見ますが、きちんとマネジメント出来ている方はちゃんとした知識を持っているように感じます。
腎臓リハビリは世界的に普及していないが、症状が出てこないと気付かない上に、症状が出たときには手遅れという臓器なので、マネジメントにがうまく出来る方々を見ていると、きちんとした知識を身につけているようです。
問題意識の高い医療人は日常のちょっとした判断が必要なときに意識が働く。その積み重ねうまく出来ているようです。

 

 

我妻
これは医者から聞いたことですが、自営業や農家の方はあまり健康診断をしないので、慢性的な病気にかかってしまってから治療に来るケースが多いそうです。
古原さんは営業していた頃を振り返ってどんな感じでしたか?

 

 

古原
本当にその通りだったように思います。

 

 

我妻
源野さんはいかがですか?

 

 

源野
あまり専門家のご意見を直接聞くことはないので、今回は勉強になりました。

 

 

 

小規模自治体スマートシティへの具体的なサービス提供に対するイメージについて

 

我妻
小規模な自治体がIoTやAIを活用したインフラが稼働した場合、具体的に提供で来そうなサービスのイメージがあればお聞かせ下さい。

 

 

古原
ママタイムサービスは置き薬のビジネスモデルに併せて開発をしたものですが、置き薬そのものをご存じでしょうか?。あまり知られていないようですが、国内の利用者はまだ1000万世帯ほどあります。しかし、クスリそのものへのニーズがなくなって来たために、そのほかにかさばるもの、重いものを自宅に配置した結果として、そのサービスが思いのほか喜ばれました。それを受けて、小さな商圏にエリアを絞り込み、週一で訪問するようにしました。これを繰り返すうちに色々相談を受けるようになってきて、そこに、フィットするサービスが開発されれば新しいサービスモデルに成長するかも知れないと感じています。

 

 

我妻
青石さんが途中参加してくれましたので、ちょっとご挨拶をお願い致します。

 

 

青石
仕事が長引いてしまい、遅くなってすみません。
初めまして。大阪で中小企業診断士と行政書士をしています青石です。最近は中小企業庁のオンライン経営相談の業務をしていますが、ここのところ補助金申請の仕事がかなり多くなっています。

 

 

 

各自簡単に再度自己紹介

 

古原
オンラインシステムにサービスが乗ってくると、かなりの情報が集まってくると思います。この情報の活用が重要です。物販における情報分析は出来ますが、健康情報を基にすれば多くのサービス展開が考えられます。、しかし、自分の開発しているシステムではそれはまだ整えられていません。

 

 

我妻
医療に関する情報活用は制度上の問題から色々なハードルががあると思いますが、ヘルスケア関連ではどんな情報が収集できるとよいと思いますか?

 

 

古原
ヘルスケアに関するサービスを提供すると、お客様の病気に関する情報はすぐに入ってくると思いますが、それはすぐに活用できると思います。
また、過疎地等の買い物難民等に関しては、現在行っている予配(商材を自宅に置いておく)サービスは活用できると思います。

 

 

小林
配置在庫に対する在庫資金の問題は簡単にクリアできますか?

 

 

古原
ある程度回転率のよい商品に絞り込んで配置するようにしていることで、ムダな在庫は避けられると思います。あとはお客様宅に在庫せずに御用聞きシステムを併用してお届けすることで在庫の適正化は出来ると考えます。
役に立った分だけ多くの情報が入ってくる。ただし、常に健康情報を提供し続ける事が大切です。
また、初めは高齢者のニーズに応えるとのがよいと考えていましたが、稼働しはじめてみると若手の子育て世代の方々が多く利用しはじめました。
競合業種に対しては、予配システムという業態は他社に無いスタイルとなっています。また、競争力のある商品開発も進めています。

 

 

杉山
バーチャルエアロ(エアロバイク活用システム)とアレクサの併用を行い、高齢者の好きな音楽を聞きながら楽しめるようにしています。
また、これは認知症防止にも活用できます。

 

 

我妻
アレクサは今後zoomやteams等のオンラインミーティングアプリとの併用が可能になるようですが、双方向での活用も期待できそうですね。

 

 

杉山
エアロバイクは色々調べてみると運動効率が非常によいのです。しかし、あまり面白くないのでジムなどでも使っている人が少ない。そこに着眼して映像・音楽を組み合わせて楽しみながらデータがオンラインで集積できるようにしました。ペダル負荷や運動時間等、これがリハビリテーションの評価データとして活用できます。データの見方という点で専門性が重要になりますが、このノウハウが現在たまりつつあります。これが予想に繋がり予防に役立てられます。

 

 

我妻
データを分析し予防のソリューションを提供出来るようになると非常に有効なツールになりますね。その点ではコンサルティング的な領域も競争力になりそうですね。

 

 

杉山
やっていることそのものはそんなにむずかしいことでは無いのですが、データ蓄積に基づくノウハウのストックが大きな価値になってくると思う。

 

 

小林
綾部エリアでもサロン活動を行っているので、実証的にテストしてゆけるといいかもしれない。

 

 

我妻
杉山さんの開発されたシステムはコスト面を含めて導入ハードルは低く、導入しやすいと思います。

 

 

小林
まず、グループホームあたりで実証テストしても面白いと思う。

 

 

杉山
人口30000人程度の都市は全国でもたくさんあるので、そうした環境で実証テストできると面白いかも知れません。

 

 

我妻
大きな都市で実証テストしようとしても様々な調整が必要で簡単では無さそうですね。
そろそろ終了時間になりますので、本日の意見交換のまとめに入ろうと思います。

 

 

まとめ

本日のお話しいただいた内容をまとめると、

 

  1. 病気になる前の予防と健康管理が重要。
  2. 予防に対する生活構築には意識の変容が必要。
  3. 意識の変容を促すには適正な知識と関与が大切。
  4. こうした事はオンラインネットワークを活用してフォローで来るのでは?

 

これらの内容を活かして、ヘルスケアのプラットホーム上で提供するサービスは、多様なニーズに応えると言うよりも予防にテーマを絞り、インフラ上での生活スタイル再構築支援サービスの開発が有効であると考えます。

具体的なものとして、持続的関与と知識啓蒙のオンラインサービスの開発やその為の地域の人的ネットワーク構築が挙げられると思います。
次回は綾部市MBTセミナー実施の報告を兼ねて、11月中旬にオンラインサロンを開催予定です。

 

 

 

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